2023年5月24日 (水) 14:20 ~ 14:40A1-3WJWTPセミナー会場 A
エンタープライズ無線LANメッシュが拓く新しい電波空間の構築とその活用
モバイル通信の代表である携帯電話とWi-Fi、いずれも端末が基地局に接続して通信が行われるサーバ・クライアント型の通信形態を採る。これに対して、端末同士が直接接続して通信を行う形態がある。ピアツーピア通信と呼ばれる通信形態である。無線メッシュと呼ばれる通信形態は、端末がお互いにバケツリレー式に中継しあうことで互いに離れた場所にいる端末同士が基地局を介することなく通信を行うピアツーピア通信の一種である。
PicoCELAは独自の無線メッシュ技術を有する会社であり、これをバックホールに適用したWi-Fiアクセスポイントの開発、販売を行っている。バックホールとは、基地局をインターネットへ接続するための中継回線を指す。各基地局のカバーエリアは年々狭小化しており、より多くの基地局、すなわちより多くのバックホールのためのLAN配線が必要となってきている。このようなスモールセルの普及を見越して、バックホールのための煩わしい有線LAN配線を削減するべく、無線メッシュに着目した。PicoCELAの無線メッシュ技術が搭載されたWi-Fiアクセスポイントは日本国内を中心に1000か所を超えるサイトでの導入が進んでいる。
スモールセル用のバックホールとして開発したPicoCELA社の無線メッシュ技術は、スモールセル設置環境特有の課題をよく解決しており、過酷なエンタープライズ領域での使用に十分耐えうる極めて安定性の高い無線メッシュ通信を実現している。この高い安定性を有する無線メッシュ技術はより多方面への応用が可能である。本発表では、PicoCELAの無線メッシュ技術について解説したのち、いくつかのユースケースを紹介し、最後に今後の応用展開について述べる。
PicoCELA株式会社
代表取締役CEO兼CTO古川 浩 氏
NEC中央研究所、九州大学大学院教授を経て、現職。一貫して無線通信システムの研究開発ならびに事業化に従事。九州大学在職中にPicoCELA社を創業。工学博士