2024年5月31日 (金) 14:30 ~ 15:10S3-5WJWTP特別講演会場
IEEE 802.11無線LAN最新標準化動向2024
2019年から立ち上がった、スループット30Gb/sと遅延・ジッタの改善を目標とするIEEE 802.11be標準化活動ですが、2022年には規格ドラフト版の製品がリリースされ、2024年1月からはWi-Fi AllianceでWi-Fi 7として認証が開始されています。そして802.11n/Wi-Fi 4、802.11ac/Wi-Fi 5、802.11ax/Wi-Fi 6・6E、802.11be/Wi-Fi 7というメインストリームの無線LANの系譜を受け継ぐ新たなIEEE 802.11bn標準化が2023年11月から開始しました。これは、無線LANをAR/VR、メタバース、産業IoT、物流などに展開していくために必要と考えられる、干渉下でのスループット拡大、遅延ジッタの削減、アクセスポイント間のローミング時のフレームロス削減といった高信頼化を目指す他、世界的な脱炭素の潮流からアクセスポイントの低消費電力化、また通信効率向上や柔軟な通信形態を実現するため端末間通信の改善にも取り組むこととしています。一方、従来のメインストリーム無線LANはマイクロ波帯である2.4/5/6GHz帯を用いますが、このマイクロ波帯の信号をベースにミリ波帯信号を再定義し、マイクロ波帯と親和性を高めて平行利用する標準化の立ち上げ議論も行われています。本講演では、進化し続けるIEEE802.11無線LANの最新標準化動向とそれらの注目技術について解説します。
株式会社東芝
研究開発センター 情報通信プラットフォーム研究所 ワイヤレスシステムラボラトリーフェロー足立 朋子 氏
東芝にて無線LANの研究開発に従事。専門は無線通信プロトコル。2001年からIEEE 802.11無線LAN標準化活動に参加、802.11n標準化ではEditorial Panel Member。2004年に802.11j標準化活動功労賞、2010年に802.11n標準化活動功労賞、2021年に802.11-2020標準化活動功労賞、802.11ax標準化活動功労賞を受賞。また無線LAN関係の活動により、2014年に一般社団法人電気学会 電気学術振興賞、2016年に第48回市村産業賞、2018年に電子情報通信学会業績賞、2021年に文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞。その他、2011年及び2015年に関東地方発明表彰受賞など。Beyond 5G推進戦略懇談会検討WG構成員を務めた他、総務省情報通信審議会専門委員などを務める。