2025年5月29日 (木) 14:30 ~ 15:10K2-5WJWTP基調講演会場
IEEE 802.11無線LAN最新標準化動向2025
802.11n/Wi-Fi 4、802.11ac/Wi-Fi 5、802.11ax/Wi-Fi 6・6E、802.11be/Wi-Fi 7というメインストリームの無線LANの系譜を受け継ぐ新たなIEEE 802.11bn標準化が2023年11月から開始しています。これは、無線LANをAR/VR、メタバース、産業IoT、物流などより広い分野に展開していくために求められる、干渉下でのスループット拡大、遅延ジッタの削減、アクセスポイント間のローミング時のフレームロス削減といった高信頼化を目指す他、世界的な脱炭素の潮流からアクセスポイントの低消費電力化、また通信効率向上や柔軟な通信形態を実現するため端末間通信の改善にも取り組むことを目標とした活動です。今年1月には暫定的な規格ドラフト第0.1版を策定し、802.11beでは議論されつつも採用かなわなかったMulti-AP Coordinationと呼ばれる複数のアクセスポイント間での連携機能、また送信機会を高めるために基本的なアクセス方式に手を入れるNon-Primary Channel Accessといった多数の技術が盛り込まれています。その他、従来のメインストリーム無線LANで用いるマイクロ波帯(2.4/5/6GHz帯)の信号をベースにミリ波帯信号を再定義し、マイクロ波帯と親和性を高めて平行利用する、IEEE 802.11bq標準化が今年の2月から始動しています。本講演では、進化し続けるIEEE802.11無線LANの最新標準化動向とそれらの注目技術について解説します。

株式会社東芝
総合研究所 インフラシステムR&Dセンター ワイヤレスシステム技術開発部フェロー足立 朋子 氏
東芝にて無線LANの研究開発に従事。専門は無線通信プロトコル。2001年からIEEE 802.11無線LAN標準化活動に参加、802.11n標準化ではEditorial Panel Member。2004年に802.11j標準化活動功労賞、2010年に802.11n標準化活動功労賞、2021年に802.11-2020標準化活動功労賞、802.11ax標準化活動功労賞を受賞。また無線LAN関係の活動により、2014年に一般社団法人電気学会 電気学術振興賞、2016年に第48回市村産業賞、2018年に電子情報通信学会業績賞、2021年に文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞。その他、2011年及び2015年に関東地方発明表彰受賞など。Beyond 5G推進戦略懇談会検討WG構成員を務めた他、総務省情報通信審議会専門委員などを務める。